加藤 之貴
フューチャーエネルギー部門

研究の特徴
エネルギー変換・貯蔵技術の高度化による省エネルギーそして地球環境保護への貢献を目指す。とくに化学反応の利用に着目し熱から熱、熱から電力への変換技術、エネルギーの貯蔵、輸送技術の高度化、水素製造を研究している。化学反応を用いたエネルギー変換は従来に無い高い性能が期待でき、再生可能エネルギー、核熱、産業・都市・移動体・生活廃熱等を熱源に、新しいカーボンニュートラル、炭素循環、省エネルギーシステムの提案、開発を進めている。
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研究の概要
- 酸化カルシウム/水系ケミカルヒートポンプ
500℃域の温熱を化学的に回収・貯蔵し、温度を上昇し供給できる酸化カルシウム/水系ケミカルヒートポンプケミカルヒートポンプ。再生可能エネルギーの出力制御分のエネルギー、内燃機関、燃料電池、産業高温熱プロセス、原子炉等から生成する余剰熱の回収・有効利用が可能である。熱・電併給(コジェネレーション)システムの負荷平準化、電力負荷平準化などに貢献可能である。
- 新規化学蓄熱材と高温熱有効利用システムの開発
100~800℃域の中温・高温の未利用熱の回収、有効利用は省エネルギーにおいて量的に重要である。これを可能とする新規の様々な化学蓄熱材およびケミカルヒートポンプ、熱利用システムを開発する。再生可能エネルギー、エンジン、燃料電池、コジェネレーション排熱の有効利用、システム総合効率のさらなる向上に貢献する。
- 炭素循環型エネルギーシステム(ACRES)
炭素素材をエネルギー源として利用した後発生する二酸化炭素を大気に排出せず、炭素素材に再生し、再びエネルギー源として利用する新たな炭素循環型エネルギーシステム(ACRES, Active Carbon Recycling Energy System) を提案、研究開発している。カーボンニュートラル産業実現への貢献が可能である。炭素素材の高効率再生技術の開発、システム実用性評価などを進めている。
- プレート型非平衡燃料改質器
新規に提案した高効率プレート型燃料改質器ならびに、主要要素技術である水素透過膜を開発している。水素透過膜により改質系から水素を逐次取り出すことで反応が非平衡に保持され、反応が促進される。通常より低温で高収率の水素製造が可能となり燃料電池、水素産業への効率的な水素製造が可能である。
- CO2回収型炭素循環移動体システム(vACRES)
グリーン水素の活用のため、グリーン水素から製造した合成燃料 (e-fuels)を用いた移動体用炭素循環システム(vACRES, Vehicle driven by ACRES)を検討している。合成化学燃料 (e-fuels)を移動体の内燃エンジン燃料に用い、排気ガス中の二酸化炭素(CO2)を化学的に分離回収し、グリーン水素を用いて再度合成燃料に変換し、移動体で利用する炭素循環システムを検討している。さらに燃料電池自動車向けに合成燃料を用いて車上で燃料改質、CO2回収、高純度水素製造を行い燃料電池を駆動することで、系外にCO2を排出しないゼロエミッション移動体システムが構築可能である。単純水素システムに対して、在来のガソリンサプライチェーンが利用でき輸送、貯蔵コストを軽減でき、かつ水素を安全・高効率に供給できる。新たな水素カーボンニュートラルシステムとして期待できる。
キーワード
エネルギー変換、エネルギー貯蔵、エネルギー輸送、ケミカルヒートポンプ、化学蓄熱、水素製造、水素キャリアシステム、炭素循環システム、カーボンニュートラル